1. トップ
  2. 気ままに更新する社長のひとりごと
  3. 真実はいくつも

気ままに更新する
社長のひとりごと

プリンセススクゥエアー
代表取締役 出口博俊

真実はいくつも

  • このページを Google Bookmarks に追加

2017年04月21日

先日渡部昇一先生がお亡くなりになりました。私は生前、何年にも渡り致知出版社の「渡部昇一塾」の講演会に参加し、先生のお話を拝聴してきました。何度も、目から鱗の話をお聞きしました。お話をもう二度と聞けないのかと思うと残念な限りです。
私は学生時代、明治、大正、昭和と続いた政治史に興味があり、色々な著作を読みあさりました。日本が日露戦争の勝利で、有色民族として唯一世界の列強の仲間入りをしてから二十数年、その天国から地獄に突き落とされた原因に興味があったからです。色々な政治史本を読みましたが、どの本を読んでも張作霖爆殺事件や盧溝橋事件は、日本軍または日本人の陰謀と半ば決めつけたものばかりでした。東京裁判でこの事件の首謀者は日本人であると認定され、日本が占領から独立した時、その裁判の判決を受諾したことでその判決内容がすべて事実であるかのように報道されたせいでしょう。しかし、先生のお話を聞いているうちに少なくともその考えは合理的な疑問が残ることも教えていただきました。当時は、中国と言っても国民党政府もあれば中国共産党もあり、共産党の後ろにソ連、満州政府、その後ろに日本とそれぞれの政府の思惑があり、駆け引きがあったわけですからいったい誰がこの陰謀を起こしたのか真相は恐らく藪の中なのでしょう。事実は、一つです。しかし、真実は誰が当事者となるかによっていくつもの真実があり、後にその時の権力者によっていくらでも書き換えられるのです。
例えば、今マスコミでよく取り上げられている「教育勅語」の取り扱いに関して。教育勅語は1947年、国会で「教育勅語排除の決議」がなされている、これは事実です。でも真実はそうであったのか、これは見方によって大きく変わります。その事実をもって日本国は教育勅語を排除した、という見方。もう一つは、日本国は1951年、サンフランシスコ平和条約を締結し、翌4月発効するまで占領されていた。即ち主権は日本国にはなかったのです。1947年、占領下の国会でなされた決議は、果たして日本国民の総意だったのでしょうか?占領軍の意図によりなされた決議であり、少なくとも国民の総意ではないという見方。占領軍の意向を今流行りの「忖度」したというのであればこれは到底主権国会の決議とは言えないでしょう。どちらの見方も間違っているとは言えません。
歴史には、動かせない「事実」と、その事実に隠されたいくつもの「真実」があり、それをどう解釈するかによって事実の風景が大きく変わってくるのです。そのことを教えて頂いたのが渡部先生でした。苦労された先生のご母堂のお話も含め、もう一度講演を聞いてみたいという思いは叶わぬ夢となりました。心よりご冥福をお祈りいたします。

社長のひとりごと
プリンセススクゥエアー

Contents

コンテンツ

  • 気ままに更新 社長のひとり言
  • タワーマンションの売却・購入をご検討中の方へ

公式SNS

  • 会社の「今」を更新中! Facebook
  • 採用情報をリアルタイムにお届け 公式Twitter
  • 採用情報をリアルタイムにお届け 公式Twitter