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プリンセススクゥエアー
代表取締役 出口博俊

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家族信託

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2019年12月09日

 皆さんはこの信託、ご存じですか?以前から信託というと、私は最初に出てくるイメージは銀行の一形態というものでした。実際、一棟の不動産売買に関わると物件を信託銀行に信託し、その受益権を売買する時に利用されるイメージが強く信託銀行を挟まず個人が自分で信託するというのは理解できず、最初聞いた時には難しいことをするような感じがして話を聞くこと自体拒否したい気持ちになったものです。しかし、具体的な話を聞いていくうちにこれは日本に訪れているこれからの超がつく高齢化社会になくてはならない制度であり、普及しなくてはならない制度だと理解できました。
 この制度は、成年後見人制度の弱点を補うものです。私の経験を交えて書きます。

 私の父は、12年前、母と中国旅行の最中、脳梗塞を発症しました。発症から三日後、日本に医療用ジェット機で日本の病院に搬送しましたがこの三日間の間、治療らしい治療を受けることができず、脳に重大なダメージを受け右半身麻痺、高次機能障害で自分の名前を話すことがやっとの状態になってしまいました。母は、旅行以前から認知症を患っていて、その旅行での父の突然の病でショックを受けたのか認知症が突然進行し、どちらも要介護5の状態になってしまいました。父の約六カ月の闘病生活後までに介護付き老人ホームを探さなければならないとともに、両親の生活費を父の口座から引き出すことができず、銀行口座の管理をするために私は成年後見人制度を利用することにしました。この制度は、心神喪失の状況にある人の代理人を立て、本人の生活費の管理を本人に代わって請け負う制度です。私たち(妹とともに)は家庭裁判所に申し立て、裁判官の審尋後、私が成年後見人になることになりました。ところがその後、思わぬ事態に陥りました。
リーマンショックです。「どうして成年後見人とリーマンショックが関係あるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。それが大いに関係あったのです。私は成年後見人就任後、父の預金を使い父を、私の預金で母を(なぜ私が出したのかというと預金名義はあくまで父であり、父のお金で母の入居一時金を支出することに家庭裁判所が難色を示したからです。夫婦共同財産のはずなのですが・・・)妹の自宅に近い介護付き老人ホームに入居させました。入居費用が毎月二人で50万以上かかるため、父の年金で賄いきれない分を、私はリートを購入しその分配金で賄おうとしたのです。そしてその後、リーマンショックとなりました。
 まず、父の証券口座のある証券会社から連絡がありました。リートの評価額が購入時の半分になっていると。私にとっては配当金がいくらであるかが問題でその評価額がいくらになったかは問題ではありません。配当が減額されていない以上、何の問題もなかったのですが担当者は成年後見制度を利用している口座の評価額が下落することを気にしているようでしきりに売却を進めてきました。それは断りました。が、今度は年に一回家裁に財産の報告書を提出するのですが、家裁の書記官より、何故こんなに評価額が下がっているのか、そもそもこのようなリートを買うことに問題がなかったのかを釈明しなくてはなりませんでした。一年後、証券会社から成年後見人からの、株式等の購入の仲介を自粛する旨の連絡がありました。文字通り、リートを売却はできても購入はできなくなったのです。そのころにはリートの評価額はリーマンショック前の水準に回復していたのにも関わらずです。それから、三年後、また家裁から連絡があり、一定金額以上の被成年後見人の財産を管理している成年後見人は、専門職後見人をつけるか、財産を信託銀行に後見支援信託にするか、どちらか選択してほしいという連絡が入りました。これは巷で成年後見人の私的な使い込みが問題になっている時期に重なります。
 趣旨は理解できますが、なぜ、父の財産をこの四年間、減らさず管理してきたのに私は家裁が決めた専門職後見人を雇わなければならないのか?またその費用を父の財産から出さなければならないのか?納得できず、家裁の担当者と反論しましたが、結局らちが明かず、最終的に私はどうしても父の財産から専門職後見人の費用を出すという一点が納得できず、後見支援信託を利用することにし、全てのリートを売却し信託銀行に金銭信託しました。
 あれから八年、金銭信託をしたお金は半分近くに減りました。あの時、専門職後見人を雇い、リートを保持していれば父の財産はほとんど減っていなかったでしょう。しかし、「両親がためたお金の管理のチェックを専門家という弁護士に裁判所が依頼し、その費用を両親が負担する」という理屈はどうしても納得ができなかったのです。
 成年後見人制度を12年間、利用してきて感じる事、それは「硬直的で、使い勝手が悪い制度」だということです。お役所が管理するわけですから、役所は責任が役所に向かないようにと必死です。そこには財産を安定的に減らさないように投資を、という概念は通用しません。少なくとも私たちの場合はそうでした。
 家族信託は、このような欠点を補う働きがあります。もちろん、信託された受託者に悪意があると乱用に繋がりますが、予め信託するに足る人に信託するのであればそれは杞憂となります。
 人は、死ねば相続が発生します。しかし高齢化社会となった今、健康年齢と寿命には差があるのです。その差に差し掛かった時、財産をどう管理するかについての危機管理が必要になると思います。どんな制度なのか説明は後にしますが、財産の一翼を担う不動産に関わる人間として家族信託を奨励し、普及したいと切に思います。

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