迷走
2015年05月15日
シャープが、迷走しています。直近4年間で1兆1000億を超える赤字を出しました。その金額の大きさも莫大ですが問題はその内容です。2012年、2013年と巨額の赤字を計上し収益構造を改革すると経営目標をあげておきながらこの最近2年間の円安に惑わされたのか2014年に若干の黒字になったことで改革の手を緩め、これだけの円安に恵まれながら2015年の決算では2000億を超える大赤字、単体では債務超過に陥ったという報道がされています。
一連の報道を部外者として眺めていると「サンヨー」の二の舞を演じるような気がしてなりません。兎に角、経営の意思決定が遅すぎると思うのです。大企業の場合、役員もサラリーマンであるので赤字を出しても当事者意識が低いのでしょう。しかし、この2年の猛烈な円安を考慮すれば4年連続で赤字を出しているようなものです。その様な結果を出しておきながら金融支援をする金融機関の出身者に代表権を持たせないという何とも中途半端な体制しか作れないようでは経営責任を全くとっていないと言わざるを得ません。それで3500人の従業員の削減?本当に可哀想な話です。(当事者という意味では従業員に責任がないとは言えませんが・・・・)
あくまでも「液晶」にこだわった結果なのでしょう。誰もが簡単に参入できる「液晶」はその分競争が激しくなります。他の「液晶」と差別化が図れない以上、規模の利益を持つ企業には勝てないということなのでしょう。
昨日、ギリアドサイエンシスというバイオ製薬メーカーがⅭ型肝炎の治療に劇的な効果がある新薬の保険適用を社会保険医療審議会が承認したという記事が出ていました。一日一錠を12週服用するだけで一部のⅭ型肝炎ウィルスが95パーセントを超える確率で消失するとのこと。Ⅽ型肝炎から肝がんを発症し亡くなる人が多い中全ての型のウィルスではないにせよ朗報です。しかし、一錠6万円です。米国では12万円というのですから製薬会社も強気です。しかし、他の追随を許さない新薬は貴重なものになります。命が係っているのですから。
国民皆保険ではない米国のように加入している保険会社によって薬を服用できない人がいると「薬さえ服用すれば治癒する病気でありながら、金がない人はその薬を購入できずみすみす命を落とすことに納得しなくてはならないのか」という議論に発展しそうです。しかし、企業価値を考えるとき、やはり他の企業にはない、追随を許さない商品を持っている企業はどのような場面でも生き残っていけるのでしょう。
企業として、どの分野に経営資源を集中させて企業として他企業と差別化を図っていけるか、これが生命線であることは間違いないでしょう。