不動産投資
2016年05月31日
最近、活況を呈している不動産投資について憂慮することがあります。私どものグループ会社も不動産投資のセミナーを開いていて主に都内のファミリータイプやシングルタイプのマンションのオーナーチェンジ物件をセミナー参加者に購入を勧めています。そのセミナー参加者さんの話を伺うと他業者さんが郊外型のアパートやマンションを利回り7パーセントほどで10年間、家賃のサブリースをしたうえで販売をしているという話をよく耳にします。私は、こう言う販売手法は非常に危険を感じます。
何が問題なのかというと、販売する業者が10年間のサブリースを簡単に請け負っている点です。不動産は新築時、賃貸すると新築のプレミアムが付き高い賃料で賃借人が見つかります。しかし、2年、3年と築年数が経つごとにそのプレミアムが剥げ落ち家賃は近隣の賃料相場と同様の金額に落ち着きます。プレミアムが付いた賃料でサブリースをかけると賃借人が何回か変わり賃料が値下がりしたりすると逆ザヤが発生します。また、郊外型のアパートは築年数が古くなると賃借人が退出した後次の賃借人が付くまで時間がかかるケースが多いのです。その場合でもサブリースをしている業者はその不足家賃を負担しなくてはなりません。その為なのでしょう。サブリース会社がサブリース賃料を一方的に減額してきてトラブルになるケースを良く耳にします。賃料を所有者に支払っているのはサブリース会社のため、トラブルになると家賃を支払ってもらえないことになりかねず、渋々家賃の減額に応じる家主も多いはずです。もちろん家主が納得しないで裁判になったケースもあります。この場合でもサブリース会社が販売会社と違っていたりした場合、減額が認められるケースもあります。また、10年という不確定要素の多い約束を簡単にしている業者にそのリスクをテイクできる体力があるのかという問題もあります。その業者が倒産してしまえば、サブリースも意味がなくなります。
マイナス金利という我々が経験したことのない事態に直面している状況で注目されている不動産投資、現時点でのキャッシュフローがプラスになっているというだけで安易に不動産投資をすることは非常に危険です。数千万円の借り入れをすることを忘れてはいけません。また当たり前の話ですが長期間毎月返済をしていかなければならないことも忘れてはいけません。不動産投資には避けて通れないリスクがあることをしっかり受け止めたうえで、そのリスクを極力減らすために何が必要かを考えなければなりません。
都心に比べて郊外、地方になるごとに家賃の利回りは高くなります。それは、何故なのか考えればその答えは明白です。賃貸が付きにくくなるからです。逆に何故利回りが低いのか、それは希少性、利便性があり、賃貸が付きやすいからです。綺麗なバラには棘があります。その欠点を十分に考慮しないで不動産投資に手を出すとまさかの事態が起こります。
当社も50億を超える賃貸付きの区分所有マンション、一棟の不動産を所有していますが、すべて都内23区内にあります。
私は、郊外型、地方のアパート、マンションは怖くて手が出せません。