知っているようで知らない事
2012年03月27日
先日、「錯覚の科学」と言う本を読みました。人間の持つ記憶力や注意力がいかにいい加減かという事について述べられています。本当に「目から鱗」の話が多いのですがその中で私は30年間自分の知識として持っていた事がまったく根拠のないものだということを知りました。それはサブリミナル効果の事です。
私は、おそらく30年以上前になると思うのですが、刑事コロンボの「意識の下の映像」という番組の中で殺人犯がサブリミナル効果を使って殺人を行うシーンを観て以来、サブリミナル効果はその有用性を認められているものだとばかり思っていました。サブリミナル効果とは、潜在意識に刺激をすることで人間に何らかの影響を与える効果の事を言います。この番組の中では、ある実験の話が出てきます。ある映画の上映中に映写されているスクリーン上に「ポップコーンを食べろ」というメッセージの書かれたスライドを繰り返し見せるというものです。勿論映像中にたった一枚のスライドを一瞬見せる訳ですから映画を見ている人はそのメッセージが入っている事を意識できません。しかしそれを繰り返し見せているとその日の映画館のポップコーンの売り上げが通常の売り上げの1.5倍になったという話なんです。この話、それでなくてもありそうな話と思いませんか。ましてやそれが実験で立証されたとなるとこれは間違いなく事実なんだと思ってしまいます。人生の成功者を研究したノウハウ本をテープに起こしそれを睡眠中に聞くことで潜在意識を刺激し成功者の思考に近づく事ができる等の、いわゆる睡眠学習とも言える手法もこのサブリミナル効果を意識したものです。そもそも成功者の思考自体怪しいもので、その成功者の定義は何と聞きたくなりますが睡眠学習自体を否定する気持ちにはありませんでした。ところが、この「錯覚の科学」を読んだところ、このアメリカで行われたという実験事態がデタラメだったというのです。発表した人間がそういっていたというのですから間違いありませんね。ふざけた話です。その後も、色々な実験が繰り返されたらしいのですが映像によるサブリミナル効果は実証されていないそうです。
まあ、考えてみたら私は面白そうな映画のDVDは借りるのではなく購入します。そして毎晩そのDVDを再生状態のまま寝るのですが大体5分以内に寝てしまいます。それを10日間位繰り返してもその映画のあらすじは全く分かりません。潜在意識の中では映画を10回は観ているはずなのですが。
この例は筋違いなのかもしれませんが、いずれにしてもサブリミナル効果というのは眉唾で受け取らなきゃならないようです。
地震の話もそうですね。東日本大震災前には騒がなかった事を今突然騒ぎ出していますがいきなり地震学がこの一年で進歩したのでしょうか。地震前には騒がなかった事をここへ来て大騒ぎする、何かの意図を感じませんか。注目してほしい、研究費がほしい、という気持ちは理解できないではないですが振り回されるのは真っ平です。