米中貿易戦争
2019年05月12日
米中の貿易摩擦が本格的にこじれてきて、ついにアメリカは、というよりトランプ大統領は対中国製品の関税を大幅に上げる決定をしました。この所謂、米中貿易問題での関税の大幅引き上げは当初は、米国側のブラフであり、どこかで落としどころを作るだろうという雰囲気の中で、経済活動が悪化し、株価が大きく下げる局面はありませんでしたが、ここにきてそれが現実となりました。今となってみるとこれは、おそらくトランプ大統領になった時に予想できたことなのかもしれません。2年前から先進国は大きな曲がり角に差し掛かったのでしょう。
第二次世界大戦後、戦勝国が戦争を導き出したのはブロック経済という保護主義にも原因の一端があったことで、自由貿易を推し進めてきました。この自由貿易の発展の過程で交通手段も発達し、これが今で言うグローバリズム経済に繋がっていきます。企業は世界中どこでも自社の製品を作れるようになると当然、より人件費の安い国に工場を移転します。本来なら異なる通貨での貿易は為替レートによって調整されて利益不利益は調整されるはずなのですが、ペッグ制を取っている国や、バスケット制を取り入れている国もあり、また統一通貨ユーロの台頭により、調整がうまく機能しない事も多々起こります。同時に人種差別問題、人権擁護のための政治不安国からの難民の受け入れ、不法移民問題という問題が起こるなかで、先進国の国外、国内ともグローバリズムの弊害がここにきてクローズアップされてきました。いや、トランプ大統領が大統領候補になる前からその不満はたまり続けてきたのかもしれません。すべてに共通するキーワードは、安い労働力なのです。大多数の労働者は、企業は安い労働力の確保ばかりに目が行き、国内労働者をないがしろにしているという不満がここにきて表に出てきているのでしょう。ましてや、今ではアメリカを抜こうとしている経済国家が共産主義であり、国家が通貨も管理し、企業を支援するのが当たり前になっているのですからもはや、同じ土台の競争などできるわけはありません。
私見ですがこの貿易戦争、これは妥協点を見つけてお互いの経済活動を円滑に、などという建前ではもう解決できないのかもしれません。今は、合意の過程というよりも、分裂の始まりとなるのではないでしょうか。
我々日本はこの状況下の中で、日本の進むべき道を真剣に考えていかなければなりません。この局面で菅官房長官が渡米しました。どういった意図なのでしょうか?拉致問題の日本独自の交渉への内諾を取るためなのでしょうか?それとも貿易問題に関することなのでしょうか?
興味は尽きませんが、我々にできる事は想像力を働かせ、変化に対応できる企業、人になることなのでしょうね。