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プリンセススクゥエアー
代表取締役 出口博俊

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痛みの分かる人

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2020年04月28日

 政府の緊急事態宣言が出て3週間が経ちました。色々な政治家が外出自粛の要請を行っています。安倍首相しかり、小池都知事しかり。それ以外でも色々な立場の閣僚が国民に要請している場面を見てきましたが、私の琴線に触れたスピーチは一つもありませんでした。皆さんは如何ですか?
 国民間の接触を80%制限しろ!だの、ステイホーム週間にしろ!だの、スローガンを掲げることは決して悪い事ではありません。しかしですよ、彼らが我々国民の痛みを本当に理解しようとしていると感じられますか?私は到底感じる事はできません。何故なら彼らの言葉に魂を感じられないからです。
 私は中小企業のオーナーの立場からでしか物事を見ることが出来ませんので、その立場で申し上げます。どの企業も最初からお金があるわけではありません。起業するということはお金を借り、部屋を借り、社員を雇い、仕入をして物、サービスを提供しその対価を受け取るのです。それは到底簡単なことではありません。企業価値をどう世間に認めてもらうか、その戦いに四苦八苦します。ただ、それだけではありません。そのサイクルが外部環境の変化で突然、狂うことがしばしば起こります。その「まさか」に備えなくてはいけません。何故なら、その「まさか」が起こっても借入れの返済、家賃、給料の支払いは待ってくれません。そのすべての支払いの責任はオーナーにあるのですから。倒産してしまえば、借入れの連帯保証をしている関係上、私有財産全てを失うのです。日本の場合、一旦失敗してしまえば失敗の烙印を押され、リベンジはほとんどできません。そのような状況で一念発起し、人生をかけ起業した人がどんな思いで仕事をしているのかを、政治しかやったことのない人間は理解できないのでしょう。私はオーナーとなった日にご飯を食べながら思ったことがあります。それは「俺は、この箸一膳さえも自分のものではない世界に飛び込んだ」でした。給料を受け取る側から、支払う側に飛び込むのです。どんなに利益が出ても自分を律し、来るべき「まさか」に備えなければならない世界に。
そのような世界に夢を持ちその夢の実現のために飛び込んだ人たちが今苦しんでいるのです。私はそういう世界に飛び込んで22年が経ちました。その「まさか」をいくつか経験し運よく乗り越えてきましたが、起業したての人たちにとって現在の外出自粛要請は業種によっては壊滅的な打撃を受けています。賃貸業を少しかじっている私たちにとって、その窮状を聞くにつけ、本当に胸が痛いです。社員を抱え、売上が激減、またはゼロという状況の中でさえも逃げないでもがき苦しんでいる人が多くいるのです。勿論、そのリスクを理解したうえで飛び込んだのですから自己責任です。言い訳が通用しないことはよく理解しています。ですから痛みを政治家に分かってもらわなくて結構です。分かるわけがないのですから。でも血が通っている人であれば察することくらいできるでしょう。スローガンを発表することで、人気取りをやっているようにしか見えない発言は止めてほしいのです。
全国民が、緊急事態宣言以降、いやその一カ月以上前から、人との接触を減らす努力をしています。本当に苦しみながら、そして犠牲を払いながら。
にもかかわらず、政治家の発言は、「まだ足りない、もっと接触を減らせ」。それ以外、他に言えないのでしょうか。医師、科学者と同じ発言しかできないのなら、そんな人は政治家ではありません。そんな政治家を選んだことを後悔しなくてはならない、という事態になって欲しくないのです。

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